発達障害とほどよい生き方

発達障害当事者が、自分の特性を「言葉にして伝える」ことで、当事者も周りの人も少し楽になることを目指しています。

発達障害の人は選択肢が多いと決められないことがある|迷いを減らす「3択ルール」

■想定読者

  • 買い物で商品をなかなか決められない人
  • メニューを選ぶだけで時間がかかる人
  • 「好きなものを選んで」と言われると困る人
  • 仕事で複数の方法があると止まってしまう人
  • 調べれば調べるほど決められなくなる人
  • 選んだ後に「別の方がよかったかも」と考える人
  • 発達障害のある人がなかなか決めない理由を知りたい家族や職場の人

■検索意図

読者は、

  • ADHDや発達障害だと決断に時間がかかることがあるのか
  • 選択肢が多いと頭が混乱する理由
  • 買い物で迷いすぎない方法
  • 仕事で判断できない時の対処法
  • 考えすぎて動けない状態から抜ける方法
  • 周囲へ「選択肢を絞ってほしい」とどう伝えるか

などを知りたくて検索しています。

■この記事で解決する悩み

  • 選択肢が増えると決めにくくなる状態を整理できる
  • 「自分は優柔不断だから」で終わらせなくなる
  • 選択肢を3つまで減らす方法が分かる
  • 比較する条件を決められる
  • 決断に使う時間を制限できる
  • 選んだ後の考えすぎを減らせる
  • 家族や職場への相談方法が分かる

発達障害の人は「自由に選んで」と言われると困ることがある

「好きなものを選んでいいよ」

一見、とても親切な言葉です。

しかし、この言葉に困ってしまう人がいます。

例えば、昼食を買いにコンビニへ行きます。

おにぎりがあります。

パンがあります。

弁当があります。

パスタがあります。

サンドイッチがあります。

さらに同じおにぎりでも、いろいろな種類があります。

「何を食べよう」

と考えます。

値段も気になります。

栄養も気になります。

昨日食べた物も考えます。

量も考えます。

新商品も気になります。

最初は昼食を買うだけでした。

しかし、考えることが増えていきます。

10分たっても決まりません。

本人も、

「早く選べばいいのに」

と思っています。

それでも決められません。

これは単純に「優柔不断だから」とは限りません。

選択肢が増えるほど、比較しなければならない情報も増えている

可能性があります。

 

2択なら決められるのに、10択になると難しくなる

例えば、

「コーヒーとお茶、どちらにしますか?」

なら比較する対象は2つです。

しかし、

「飲み物は好きなものを選んで」

となると、一気に範囲が広がります。

水。
お茶。
コーヒー。
紅茶。
ジュース。
炭酸飲料。

さらに、

温かいか。
冷たいか。
甘いか。
無糖か。
値段はいくらか。

比較する条件まで増えていきます。

選択肢が多いことは、必ずしも本人にとって「自由で楽」とは限りません。

人によっては、ある程度絞られていた方が決めやすくなります。

 

「一番いいもの」を選ぼうとすると終わらない

迷いが長くなる理由の一つに、

一番良い選択をしたい

という考えがあります。

例えばスマートフォンを買います。

最初は、

「3万円くらいで買えるもの」

を探していました。

調べます。

Aは安い。

Bはカメラが良い。

Cはバッテリーが長持ちする。

Dは少し高いけれど性能が良い。

さらにレビューを読みます。

別の商品を見つけます。

比較動画も見ます。

すると、

「もう少し調べれば、もっといい商品が見つかるかもしれない」

と思います。

情報を増やしたことで、逆に決められなくなります。

 

「失敗したくない」が強いほど決めにくくなる

選択そのものより、

選んだ後に後悔すること

が怖い場合もあります。

「高い方を買って損したらどうしよう」

「安い方にして使いにくかったらどうしよう」

「別の仕事を先にやるべきだったらどうしよう」

「断ったら嫌われるかもしれない」

どちらにもデメリットがあります。

そのため、

「絶対に失敗しない答え」

を探します。

しかし、日常の選択では、選んでみなければ分からないこともあります。

100%正しい答えを探すほど、決断が遅くなることがあります。

 

決めた後にも「本当にこれでよかった?」が始まる

ようやく決めます。

ところが、そこで終わりません。

商品を買った後に、

「もう一つの方がよかったかもしれない」

と考えます。

仕事の順番を決めた後に、

「先に別の仕事をやるべきだったかな」

と考えます。

予定を断った後に、

「やっぱり行けばよかったかな」

と考えます。

決断する前だけでなく、決断した後にも比較を続けてしまうことがあります。

これでは、一つの選択に長い時間とエネルギーを使います。

 

■実際に起こりやすい場面

買い物

ネット通販で靴を探します。

条件は、

「普段履ける黒い靴」

だけでした。

検索すると何百件も出てきます。

値段。
デザイン。
レビュー。
ブランド。
耐久性。
サイズ。

比較します。

別の商品を開きます。

レビューを読みます。

さらに検索します。

1時間たちます。

最終的に、

「今日は決められないから、また今度にしよう」

となります。

調べることに疲れて、購入そのものを先延ばしにしてしまいます。

 

仕事

上司から言われます。

「AとB、やりやすい方からやって」

本人は考えます。

Aは早く終わる。

でもBの方が期限は近い。

Aを先にするとBが遅れるかもしれない。

Bから始めるとAを忘れるかもしれない。

迷っているうちに時間が過ぎます。

上司から見ると、

「好きな方から始めればいいのに」

と感じるかもしれません。

本人には、選択するための基準がありません。

 

休日

「今日は自由に過ごそう」

と思います。

ゲームもしたい。

買い物にも行きたい。

部屋も片づけたい。

ブログも書きたい。

動画も見たい。

全部できます。

だからこそ迷います。

何から始めるか考えているうちにスマートフォンを見ます。

気づけば昼になっています。

やりたいことがなかったわけではありません。

やりたいことが多すぎて、最初の一つを選べなかった

可能性があります。

 

■やってはいけない対処

全部比較してから決めようとする

20個の商品があるからといって、20個すべてを比較する必要はありません。

比較対象そのものを減らします。

判断基準を増やしすぎる

価格、性能、口コミ、デザイン、ブランド、耐久性……。

条件が増えるほど比較は複雑になります。

「今回一番大切な条件」を決めます。

疲れている時に重要な判断をする

判断にもエネルギーを使います。

疲れている時ほど迷いやすい人は、大きな決断を別の時間へ移す方法もあります。

決めた後も検索を続ける

購入した後まで商品比較を続けると、後悔する材料が増えてしまいます。

問題がなければ、一度検索を終了します。

「自分は優柔不断だ」と責める

性格だけで考えると対策が見つかりません。

「何択なら決めやすい?」

「どの条件で迷った?」

と仕組みを確認します。

■今日からできる具体的な対策

1. 選択肢を3つまで減らす

最初から全部を比較しません。

例えば商品が20個あったら、

候補A

候補B

候補C

まで絞ります。

そこから選びます。

これを「3択ルール」として使います。

 

2. 「絶対条件」を一つ決める

買い物なら、

5,000円以内

仕事なら、

今日締め切りのものから

食事なら、

500円以内

のようにします。

最初に一つ基準を作ると、候補を減らしやすくなります。

 

3. 条件を3段階に分ける

例えば靴なら、

必須

5,000円以内

できれば

黒色

気にしない

ブランド

とします。

すべての条件を満たす商品を探さなくてもよくなります。

 

4. 決める時間を先に決める

「納得するまで考える」

では終わらない場合があります。

そこで、

昼食は2分

服は10分

日用品は5分

などと決めます。

重要な契約や高額な買い物などは、もちろん慎重な判断が必要です。

小さな日常の選択から時間制限を使います。

 

5. 迷った時の固定ルールを作る

毎回考えなくて済むルールを作ります。

例えば、

昼食で迷ったら前回と違う方

同じくらいなら安い方

仕事なら期限が近い方

休日なら午前中に外出を済ませる

などです。

正解を作るのではありません。

迷った時に決めるための基準を作ります。

 

6. 「70点なら決定」を使う

100点の選択を探し続けると、決められないことがあります。

そこで、

必要な条件をだいたい満たしているなら決める

という考え方を使います。

日用品など、失敗しても大きな問題にならないものから試します。

 

7. よく使うものは固定する

毎日選ぶ必要がないものは、定番を作ります。

例えば、

朝食は3パターン。

仕事着は数パターン。

コンビニ昼食は5パターン。

日用品はいつもの商品。

選択そのものを減らします。

「毎回違うものを選ばなければならない」というルールはありません。

 

8. 休日は前日に「最初の一つ」だけ決める

休日すべてを計画する必要はありません。

前日の夜に、

「明日は10時に買い物へ行く」

だけ決めます。

最初の行動が決まっていると、

「何をしよう」

から一日を始めずに済みます。

 

9. 仕事では優先順位を聞く

複数の仕事を頼まれた時は、自分だけで決めなくても構いません。

「AとBでは、どちらを先に終わらせる必要がありますか?」

と確認します。

「どちらでもいい」と言われたら、

期限が近い方

など、自分の固定ルールを使います。

 

10. 決めた後は「再検索しない」

決断後のルールも作ります。

条件を満たしている

予算内

大きな問題がない

なら、一度終了します。

「もっと良いものがあったかもしれない」は、ほとんどの選択で起こり得ます。

見つけるまで探し続ける必要はありません。

 

■そのまま使える「迷った時の3択シート」

決めること:

__________

一番大切な条件:

__________

候補A:

__________

候補B:

__________

候補C:

__________

決める時間:

__分まで

同じくらいなら:

□ 安い方

□ 早く終わる方

□ 期限が近い方

□ いつもの方

□ 最初に選んだ方

決定:

__________

決めた後:

□ 再検索しない

これだけでも、頭の中だけで比較し続ける状態を減らしやすくなります。

■使える言い換え・相談テンプレ

職場で優先順位を確認する時

「どちらからでもよいとのことですが、期限を基準にするとAからでよいでしょうか?」

選択肢を減らしてほしい時

「選択肢が多いと判断に時間がかかるため、優先する候補を2~3個に絞っていただけると助かります」

判断基準を確認する時

「今回、一番優先するのは速さ・正確さ・費用のどれでしょうか?」

家族に相談する時

「全部から選ぶと迷ってしまうので、おすすめを3つくらいに絞ってもらえる?」

自分だけで決められない時

「AとBで迷っています。私はAを考えていますが、見落としている点がないか確認してもらえますか?」

支援者へ相談する時

「選択肢が増えると比較を続けて決められなくなります。日常で使える判断基準を一緒に作りたいです」

自分用の言葉

「一番いいものではなく、条件を満たすものを選ぶ」

「全部を比較しなくていい」

「3つまで絞ってから考える」

「決めることにも時間制限を作る」

「選んだ後まで比較し続けない」

■まとめ

発達障害の人の中には、選択肢が増えるほど決めることが難しくなる人がいます。

選択肢が増えると、

  • 比較する情報が増える
  • 判断基準も増える
  • 失敗しない答えを探す
  • 調べるほど新しい候補が見つかる
  • 選んだ後まで比較してしまう

という状態になることがあります。

そんな時は、決断力だけで解決しようとしません。

選択肢そのものを減らします。

まず試しやすいのが、

「3択まで減らす→一番大切な条件を1つ決める→時間を決めて選ぶ」

という方法です。

自由とは、毎回すべての選択肢から選ぶことだけではありません。

自分が決めやすいように、選択肢を減らしてもよいのです。